冬の触感

春のにおい、夏の音、秋の夜空と当麻町に住んでいて自分なりの四季の風物詩をこれまで紹介してきました。思い返してみると嗅覚、聴覚、視覚ときています。だからというわけではないのですが、冬は触覚でいこうと思います。

北海道の真ん中にある当麻の冬はマイナス気温が当たり前。冷え込むとマイナス30℃以下になる日もあります(最近では少なくなりましたが)。北海道民は意外と寒さに弱いと言われています。なぜなら真冬でも家の温度は20度前後を保っているから。それでも「寒い 寒い」と厚着をして、モコモコのインナーがついた靴下を履いているわけです。私は徒歩通勤ですが、ヒートテックのインナー上下にダウンのベスト、その上にさらにダウンジャケット、耳掛け、モコモコの手袋といういで立ちで臨んでいます。職場に着く頃には少し汗ばむ位、暑くなるのですが、玄関を出た時の寒さを考えると某タイヤメーカーのキャラクターのようなこの風貌がやめられずにいます。

気温が低くなった朝、屋外との寒暖差で窓ガラスには霜がつきます。ここに爪を立てて削って、アート(いたずら書きではありません。敢えてアートと表現します)を描くのは冬のお約束の行為だと思っています。大人になってもやっている人いますよね?霜を削ると爪と指の間に雪のような塊が蓄積されていき、その後、体温ですぐに溶けてしまう。楽しいからとやり過ぎると、寒さで指の先が少しだけしびれてしまう。冬ならではの触感の一つです。

ぬくい(“暖かい”の意味。北海道弁です)室内から重い腰を上げて、外に出ると、まずキンッと冷えた空気が鼻の穴をツンッと刺激します。鼻血が出る直前の感覚に似ていますね。これも冬ならではの感覚。

雪の上で歩みを進めるとギュッギュッという音とともに足の裏に伝わってくる感覚。これはマイナス10℃以下位から感じることのできる触感です。

十分すぎるほど着込んでいるので体は暖かいのですが、指先はだんだん冷えてきます。手袋や靴の中で指を動かして少しでも暖かくしようとするのですが、それよりも冷え込みが勝り、ちょっとだけ痛みを感じます。

…とこんな具合に冬は触感で感じることが多い季節だと思います。書き並べてみると過酷ですね…。そうです北海道の冬は過酷なんです!

でも冷えた朝は、見上げると澄みわたった青空が広がり、木は樹氷をまとい、雪原は太陽を浴びてキラキラと輝き、空と大地をつなげる空間にはキラキラとダイヤモンドダストが舞う幻想的な光景を目にすることができます。この光景を目の当たりにすると、冷え込みのつらさも「耐えられるかな?」と思ってしまいます。北海道に住んだことのない方、ぜひこのアメとムチのような冬を楽しんでみてください!
ちなみに私は素晴らしい光景を差し引いても“ぬくい”方が良いです。

~厳寒の時期に、敢えて外でキャンプを楽しむ人もいます。当麻山キャンプ場では毎年冬にスノーキャンプサイトをオープンさせています~